SASU、SAS、SARL、EURL:フランスで選ぶべき法人形態は?
フランスで会社を設立する創業者の多くは、4つの法人形態で迷います。SASとその株主1名版であるSASU、そしてSARLとその社員1名版であるEURLです。4つとも責任は出資額までに限られ、資本金1ユーロから設立できます。本当の違いは、代表者の社会保険の扱い、ルールの柔軟性、そして利益の受け取り方にあります。
4つの形態の概要
SAS(société par actions simplifiée、簡易株式会社)は、株主が2名以上の簡易な株式会社です。SASUは株主が1名の同じ形態の会社です。SARL(société à responsabilité limitée、有限責任会社)は社員が2名以上の有限責任会社で、EURLはその社員1名版です。
4つの形態いずれも、株主は出資額を上限として会社の債務に責任を負うだけで、最低資本金はなく、原則として会社は法人税を納めます。
代表者の社会保険
ここが最大の違いです。SASまたはSASUの社長(président)は、社会保険上、給与所得者とみなされます(assimilé salarié)。給与を受け取る場合、社会保険料は高めですが、保障内容は会社員に近いものになります。社長が給与を受け取らなければ、社会保険料はかかりません。
SARLの過半数業務執行者(gérant majoritaire)やEURLの業務執行者は、自営業者の制度(travailleur non salarié)に加入します。同じ所得なら保険料は一般に低めですが、保障は手薄で、所得がない年でも最低限の保険料が発生します。
柔軟性とガバナンス
SASとSASUは非常に柔軟です。ガバナンス、株式の譲渡、意思決定に関するルールを、創業者が定款で自由に定められます。そのためスタートアップや投資家に人気があります。
SARLとEURLは法律による規定がより厳格です。社員を保護するルールが手厚い一方、第三者に持分を譲渡するには他の社員の承認が必要で、組織の変更にもより形式的な手続きが求められます。
報酬の受け取り方:給与と配当
SASやSASUでは、配当に社会保険料はかからず、原則として投資所得に対する一律課税(フラットタックス)の対象となります。多くの創業者は、控えめな給与と配当を組み合わせています。
SARLやEURLでは、業務執行者が受け取る配当のうち、資本金に連動する基準額を超える部分に自営業者の社会保険料がかかるため、配当で報酬を受け取るメリットが小さくなります。
外国人創業者に向く形態は
海外在住で1人で創業する場合、通常はSASUが最もシンプルな選択です。社長に居住地の条件はなく、ルールは柔軟で、後から新しい株主を迎えてSASに移行するのも簡単です。
どの形態を選んでも、会社を登記する前にフランス国内の登記上の本店所在地(siège social)が必要です。ドミシリエーション(登記住所サービス)を使えば、遠隔で用意できます。最適な形態は見込み収入や報酬の受け取り方によって変わるため、会計士にご自身の状況をシミュレーションしてもらうことをおすすめします。
よくある質問
SASUやSARLの最低資本金はいくらですか?
法律上の最低額はありません。SAS、SASU、SARL、EURLはいずれも資本金1ユーロから設立できます。資本金を多めにすると、銀行や取引先からの信用が高まることがあります。
非居住者でもSASUの社長になれますか?
はい。フランスの法律では、SASUの社長に国籍や居住地の条件はありません。滞在許可証が必要なのは、フランスに住む予定がある場合のみです。
EURLを後からSASUに変更できますか?
はい。会社は存続中に法人形態を変更できます。変更には社員の決議、定款の改定、登記所への届け出が必要です。
会社の利益にはどのように課税されますか?
原則として、4つの形態いずれも法人税を納めます。一定の条件を満たす小規模な会社は、利益のうち最初の一定額に15%の軽減税率が適用され、それを超える部分には標準税率の25%が適用されます。